阪堺線恵美須町移転

2020年2月より阪堺電気軌道阪堺線恵美須町停留所が移転することが発表された。

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かつては阪堺線だけでなく平野線からの直通もあり、また両線ともにあまり待つこともなく頻繁に運転されていたが今や阪堺線のみで、しかも日中は24分間隔というダイヤである。

ホームが短いことを除けば普通鉄道用の駅に匹敵する広い駅(停留所だけど)をもはや持て余しており、移転により構内は単線のコンパクトなターミナルとなる。ホームは構内の単線化で浮いた用地に設置される。移転リニューアルの理由に台風の影響やバリアフリーを挙げているが、実際はその前からこの地を何か開発するというのは親会社の南海の計画にもあるため、台風が来てなくともこうなったのであろう。

地下鉄の恵美須町からは遠くなるが乗り継ぐ需要はあまりないはず。必要なら新今宮駅前(旧南霞町)から動物園前でもよいわけだし。そもそも堺筋線天下茶屋に伸びて、松田町、北天下茶屋、聖天坂あたりの需要をごっそり食っているのが最近の阪堺線の低迷の要因の一つである。

新しいホームから堺筋通天閣寄り)への出入りができるようだがホームは線路を挟んで堺筋の反対側になる。おそらく発車するほうをポイントの直線側にし、停車する方を分岐側にするためにその配置になったものと思われる。ホームの構造は石津北や阿倍野等最近新設または改築された停留所とほぼ同様の近代的なつくり。ホームの長さは余裕ありそうなので、団体貸切が入る場合には天王寺駅前浜寺駅前同様縦列停車は可能と思われる。

意外と立派な駅舎らしき建物もあり、トイレは確実として乗務員の休憩所としての機能もあると思われる。(給湯や冷暖房の設備も見えたため。)また信号小屋らしきものも移設される模様。

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なお、この件と直接関係はないがほぼ同時進行で天神ノ森(正確には廃止になった宮ノ下停留所付近)にあったポイントが撤去されており、阪堺線の線路のスリム化が進んでいる。あまり採算が良くない路線のため、身軽な資産にしようということだろうか。メンテナンスを要する箇所を減らすというのもあるだろう。住吉公園の廃止も平面交差で複雑なポイントの整理というためでもある。

阪堺電気軌道は2016年に上記の住吉公園停留所が廃止となり、同年の末には上町線天王寺駅前が道路の拡幅工事に伴い移転した。また南海本線の高架化に伴い阪堺線浜寺駅前も移転の予定がある。こうしてみると阪堺電気軌道ターミナル駅は短期間の間に全て変化が生じることとなり、これもまた珍しいことかもしれない。

このところの利用低迷や減便のため、廃止が心配されることもある阪堺線の住吉以北であるが、設備に手を入れるということは今のところ具体的に廃止の動きはないはずである。