北大阪急行で有料着席サービス?

2024年1月13日の読売新聞(大阪朝刊)に北大阪急行社長のインタビューが掲載された。紙面限定のようでWeb版は読者限定となっている。

内容は今年の3月の箕面萱野への延伸の期待が大半なのだが、最後に注目すべき内容があった。

快適に利用してもらうため、私鉄各社やJR西日本が導入する有料着席サービスは一般化するとみており、北大阪急行でも大阪メトロと協力して提供できるかを検討したい。

(1/15追記 Web版が公開された)

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北大阪急行箕面萱野まで延伸すると距離や所要時間的に有料座席のある列車があってもおかしくはない。特に箕面萱野や箕面船場阪大前から本町、心斎橋、なんばまで乗ると30分程度の乗車時間になるし、また千里中央は始発駅でなくなるので着席ニーズは増える。富裕層の多い地域でもあり需要はありそうだ。

ただそれを実現するのはなかなか難しそう。車両の稼働率御堂筋線内での混雑など。

まず車両面。全号車が有料座席の専用編成は、需要がほぼラッシュ時に限られる以上稼働率が低くなり、観光用や都市間連絡特急と兼用できない地下鉄型路線では考えられない。南海のラピートや泉北ライナー、あるいは近鉄特急のような形は無理。

京阪のプレミアムカーや阪急で導入するPRiVACEのような一部号車に導入というのもその分一般車が減るので御堂筋線区間では難しい。もちろん11両以上に増結も全く現実的ではない。

近年首都圏で増えている、座席が回転することでロングシートを前向きのクロスシートに変換できるL/Cカー型はどうかといえば、これは20m車の寸法との相性がよく座席配置の無駄がないからできることで、車長がやや短い北大阪急行(およびOsaka Metro御堂筋線)での導入は難しい。あえてやると座席数が少なくなりすぎる。

現実的なやり方は一般の通勤型同様のロングシートで「座れる権利だけ」を売るもの。着席サービスだから優等列車として速達運転もしなくていいだろう。どうせ追い越しはできない。車両は今後8000型の置き換えで導入するものを使い、ロングシートといってもややシートが良いものを使うといい(北急は阪急系らしくロングシートといってももともと結構良い座席だけど)

ただ一般の車両だと券を持たない一般客が間違って乗ってくるおそれもあるので乗車ドアは限定し、途中からは(南行きは江坂から、帰宅ラッシュ時の北行きは新大阪から)座席券なしの乗降フリーでよいだろう。そうでないと管理しきれないし、前後の列車も混雑する。

まあこういうやり方ならできないこともないな、という案を考えたけどこれに料金を出す魅力があるかどうか。北急とメトロで座席料金を分け合うと総額が500〜600円となってただのロングシート速達性もなしでは高すぎるので、始発側の事業者総取りで200円くらいにする。途中から乗降フリーにするのはその意味もある。

北急のグループでもある阪神電鉄で「らくやんライナー」をやっており、一部ロングシートも使用されていたため、類似の先行事例もあるといえばあるのである。グループだからその時のお客の反応なども聞いてるだろう。

北急の場合は北急側が乗り気でも Osaka Metro 側が御堂筋線での混乱を懸念して慎重になって実現しない可能性もあるし、北急側もそこまで真剣に考えてるわけではないというオチもありそうだが、地下鉄型路線における有料座席のモデルケースとなったら面白いなと思った。