関東運輸局で見たもの

ムーンライトながら関係の続報がないかと思ってググってみてたまたまみつけたもの。

さる3月、大阪から九州への夜行「なは・あかつき」と東京・大阪間の夜行「銀河」が廃止され、来年には「富士・はやぶさ」の廃止やら快速「ムーンライトながら」臨時格下げも噂されています。

これら夜行列車は、乗車率の低下を理由に廃止されていますが、夜行バスの繁栄ぶりからも夜行需要の大きさはなお窺え、にもかかわらず集客努力の不足により需要減となった状況は否めません。

その原因として、「分割民営化の歪み」も挙げられましょう。すなわち、1987年の分割民営化により旅客輸送が各地域旅客鉄道会社に分割されてしまった結果、本来需要を掘り起こすべき起終点の事業者に収益がわたらなくなり(キロ配分するため、東京―九州夜行でJREの収入は湘南電車並となる。)、いきおい車両改良等に不熱心となってしまいました。加えて、旅客鉄道会社が、夜行列車のためだけに機関車運転士を養成・配置することを非効率ととらえたことも、廃止を加速させる要因といえます(JRCでは来年、電気機関車の運転士がいなくなると言われており、これが「富士・はやぶさ」廃止の噂の出所である。)。

このような不都合にかんがみ、長距離夜行列車の運営について、全国ネットを展開し機関車運転士も多数擁するJR貨物に移管すべきではないでしょうか。たしかに、国鉄改革の際、旅客輸送と貨物輸送を峻別し、貨物会社に旅客輸送をやらせない旨が規定されました(国鉄改革法8条等)。しかし、旅客会社の分割により会社をまたいだ長距離利用に不便をかけない旨のとりきめ(参院付帯決議、JR会社法平成13年改正付則2条等参照)が事実上反故にされてしまった現在、貨物会社の旅客営業を禁止する前提を欠いてしまったといえます。通信の分野で東西NTTと別に「NTTコミュニケーションズ」を設けたのと同様、地域会社間をまたぐ輸送を行う(現行の地域旅客鉄道会社とは)別の組織が必要であり、JR貨物にかかる役割を担わせるのが適切ではないかと考えます。

なお、現状の長距離輸送縮小は、「新会社が正当な理由がなくて当該新会社が経営する鉄道事業に係る利用者の利便の確保・・・ために必要な事業経営を行っていない」ともいえ、上記付則4条に基づく国交相勧告も必要な場面と思われますが・・・

いかにもRJ誌の読者欄にありそうな意見だけど、今の旅客会社が他社にまたがる長距離列車の運行に積極的にならない(なれない理由も明らかな)以上、(現状のJRの枠組みにとらわれない)別の会社にやらせてみてはという発想自体は自然。ただそれがJR貨物でいいのかというのはあるけど。別の第2種鉄道事業者でもいいわけだし。(実際の運転はJR貨物に委託するなどして。)JR貨物は個人利用者に対する営業経験が(引っ越しコンテナなどを除けば)ほとんどない。仮にJR貨物がやるとしても座席の販売は旅行会社に丸投げせざるを得ないのでは。

また今のように旅客会社による運行を維持しながら、営業は別の会社に委託するとか、席をほとんど買い取ってもらって独自に販売してもらうとか、やり方はいろいろあると思う。もっともそれで利益が出るのなら参入したがる業者はとっくに出ているはずなので、なかなかうまくいくものではないんだろうけど。