JR西日本バリアフリー化計画とJR東海の関係など

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このところ首都圏や近畿圏で導入が発表されているバリアフリー料金制度がJR西日本の近畿地区でも導入されると発表された。

ホームドア、エレベーター、案内表示などの充実を急ぐことには異存はなく、どんどん進めていただきたいがここにも違和感のある文言が。(あくまで用語としての違和感である。)

前も少し書いたが「運賃」とは普通列車の自由席で最低限の輸送をされる代価であり、そこに指定席とか特急とか付加価値をつける際に払うのが「料金」である。バリアフリーとか安全とか輸送の根幹にかかわる部分で使う費用の徴収なのだから付加価値ではなく、性質的には運賃そのものである。まずここで「料金」という用語がおかしい。

「料金を普通運賃に加算します」とあるがJRの場合運賃は運賃、料金は料金と別物であり「加算」できる性質のものではない。(合わせて払うことになるけど、そこで加算という表現はない。)

さらに下の表には「普通旅客運賃 10円」などの表現が。

この制度での「料金」は急行料金とかグリーン料金などのJR旅客営業規則における料金のことではなく、あくまでバリアフリー制度における用語で、JRの乗車券発行の実務上は「運賃」の一部として扱われるのではないだろうか。でないと「駅バリアフリー施設利用券」みたいな料金券(実際は乗車券と1枚にまとめるとしても)が必要になるだろうし。

さてもう1つ気になるのは東海道新幹線京都新大阪間を利用した場合はどうなるのか?ということ。上記リリースには新幹線も含むとあるが東海道新幹線JR西日本からしたら他社の路線でありJR西日本が勝手に発表するわけにはいかないからこのリリースにおける「新幹線」は山陽新幹線を指してるのだろう。国鉄時代に新幹線と在来線は運賃上は同じとみなすこととなっており、分割民営化時にそれを踏襲することになったので京都ー新大阪間を含む乗車券は新幹線、在来線どちらも使用可能である。(新幹線の場合はもちろん新幹線の特急料金が必要だが。)たとえば京都駅のJR西日本の券売機で新大阪までの乗車券を買って在来線で新大阪へ行こうとしたけど遅れそうだから新幹線で行こうと思った場合は新幹線の特急券を追加で買えば乗車券はそのまま使うことができる。

これまでの扱いをもとに考えれば東海道新幹線新大阪ー京都間利用時もこの加算「料金」適用と思うのだがこの加算「料金」を徴収する際はバリアフリー化の計画も出さねばならず、東海道新幹線は現状ホームドアやエレベーターなどはかなり充実しており徴収根拠があるのか?というのもある。JR東海新幹線利用の場合でもJR西日本の京都駅や新大阪駅構内を通る可能性もあるしその権利はあるので、JR東海がその分を代理徴収しているという解釈で京都ー新大阪間同一運賃の維持をするのだろうか。JR東海新幹線とJR西日本在来線で差をつけると乗車券を変更した際に精算が必要になり、それにもコストがかかるわけで。

そしてさらに話が変わるが今回のJR西日本のリリースにこんな記述が。

現行の運賃体系の制約上、まずは先行して 2022 年度から整備を進めるエリア(図2:図1の①の範囲と同じ)において、2023 年 4 月 1 日から料金を収受します。また、2025 年春を目途に、整備と料金収受の対象エリアを拡大(図1の②の範囲)したいと考えています。拡大にあたっては、整備対象エリアの運賃体系の共通化も課題であり、今後、検討を進めてまいります。 

「整備対象エリアの運賃体系の共通化」これは現状の大阪圏の(東京圏も同様だが)割安な運賃レート(電車特定区間大阪環状線内運賃)、あるいは私鉄競合区間に設定されている特定区間(上記の新大阪(大阪も)ー京都間もそうである)などをバッサリやめるということだろう。これらの運賃制度を維持したままバリアフリー料金徴収することは可能だろうからバリアフリー化とは直接関係はなく、大阪都市圏での値上げを行うための発券や改札システムの改修を同時に行いたいということだろう。

JR西日本国鉄時代からの一般の幹線における標準の運賃は(消費税分以外は)なんとか据え置くにしても、回数券などの廃止、割安だった都市部や私鉄競合区間への標準の運賃の適用による値上げ、特急自由席の縮小などで増収をはかっていくのだろう。コロナ禍の減収を補うにはそれでも足りないだろうけど。特急関係は北陸新幹線敦賀延伸のタイミングでまた何かありそうである。