このところ内閣やその意向を受けて総務省が携帯電話料金引き下げのためにいろいろ動いているが、はたしてそれが引き下げに寄与するのか。総務省のやってきたことはこれまでだいたい裏目に出ている。
今検討されているのは次のようなことである。
- 各種手数料の無料化または引き下げ
- キャリア移動後のメールアドレスの維持
- eSIMの普及
- 月5000円程度のプランの充実
いずれもユーザーにはありがたいことだがそれが直接携帯料金引き下げにつながるかといえば、今まで無駄に高く払っていたユーザーが5000円コースになる場合くらいだろう。個人的にはそれだって高いと思うのだが。
手数料を無料にして競争が激しくなるのか。以前はキャッシュバックでお金をもらえていたのだが(笑)、それでもキャリア乗り換えは一部のユーザーだけしかしなかった。(そのため極端な値引きやキャッシュバックが制限された。)手数料をなくすだけで競争が活性化するとは思えない。
メールアドレスは、まあ維持できないよりは維持出来るほうがいいとはいえるが、単なる転送で済ますのだろうか?それとも乗り換え先のシステムに乗り換え元のメールアドレスを載せられるようにするのか。それならキャリアメールを持たないMVNO系あるいは楽天には移せないからやはり転送方式?
メールアドレスを回線契約と切り離して(月に100~300円くらいの有料でも良い)デバイスフリー化するのがスマートではある。いまどきキャリアメールなんていらないよと言う人もいるけど、Gmailなどのパスワード再設定など認証用として役立つことはある。
いっそメールアドレスを使うキャリアメールは廃止し、すべて電話番号MMSまたはプラスメッセージ(MVNOにも開放するとして)に統一、ついでにSMSも無料化のほうが良いのではないかとも思うが。
eSIMの普及はオンラインで手続きを完結させやすくする意味ではよいけど(もちろんeSIMに関する手数料も無料化である前提で)、これもキャリアの移動活性化に即結びつくかといえば、やはり前の話に戻るが以前はキャッシュバックがあっても(以下同じ)
ソフトバンクやワイモバイルのようにSIMをキャリアの都合で何種類も分けておいて、それを変更するときに手数料取っていることを思えばeSIMの普及自体は歓迎できることである。ただそれ自体に集客の効果はないので、総務省もいったい何を思って勝手に期待を膨らませているのかと思う。
菅さんの値下げ要望へのアンサーとしての5000円プランの充実は、あまり素直に受け取れないところもある。何しろ最初に言い出したのがソフトバンクである。(苦笑)
現在ワイモバイルで安く使っているユーザー、あるいはガラケー巻き取り用のスマホデビュープランのユーザーの次のステップとして5000円プランに誘導し、さらに次は上位プランに誘導と考えているにちがいない。総売り上げが下がることはしないはずである。
こうなるとワイモバイルのスマホベーシックプランRはほぼ意味のないプランとなる。既存ユーザー向けにソフトバンクとの逆転現象は起こらないような調整はするだろうけど。プランMでさえ微妙な存在となる。楽天対策としてもプランS中心になるのでは。
やがては各キャリア使い放題7000円、ほぼ使い放題5000円、計画的に使えば3000円くらいの月客単価に収斂するようになるだろう。そうなるとMVNO系格安キャリアは対抗するのが厳しくなってくる。今もサブブランド系が強くて格安系は苦しくなってるわけで。