大阪市営交通(地下鉄、市バス)の今後について

大阪市交通局が運営する大阪市営地下鉄及び大阪市営バスが今年の3月31日をもって大阪市交通局による運営を終え(条例上は廃止となっている)、地下鉄は大阪市が全額出資する大阪市高速電気軌道株式会社に、市営バスは大阪シティバス株式会社に移管されることになる。(いわゆる民営化だが、当面市の出資なので株式会社化という表現も使われる。)なお大阪シティバス株式会社は今は大阪市の出資する外郭団体的な会社であるが、4月からは大阪市高速電気軌道株式会社が7割ほど、大阪市が3割ほど出資する会社となる。直接間接問わず全額大阪市の出資であるが、地下鉄新会社はいずれは上場する可能性もあるし、経営に多少の不安要素のあるバス事業は市の直接の関与を残しているのだろう。上下分離と言ってよいのかはわからないが、バスの営業所、操車場、車両などほとんどの資産は地下鉄会社である大阪市高速電気軌道持ちとなっており、バスは身軽な運営となる。

現在の準備としては、地下鉄事業の愛称、コーポレートスローガンの策定がまず最大の作業で、これが決まらないことには印刷物など諸々の資材をつくれない。この作業はジェイアール東日本企画が請け負うことになっている。昨年末の段階では候補は絞られているとの市長談話もあったが、そろそろ決まるだろう。公式な発表は4月1日にセレモニーにてということだが、実際はそれ以前に市会議員への説明なんかもあろうし、そろそろいつ報道があってもおかしくないのではないか。

当たらないにしてもどんな愛称になるのかを予想すると、社名が超お堅いので、アルファベット交じりの愛称になる可能性もあるのではないかと予想している。何しろその典型例であるJR東日本系列の会社が命名するのである。民営化あるいはそれに近い案件での名称はアルファベット略称になることが多いし(NTT、JR、JT、UR、NEXCOなど)、ロゴもつくりやすい。つくばエクスプレスのように堅い正式社名(首都圏新都市鉄道株式会社)+愛称(つくばエクスプレス)+アルファベット略称(TX)という例もある。まあ第3セクター鉄道にありがちな変な名前にはならないでほしいところ。なお、co.jpドメインはosaka-subway.co.jpで押さえられており、そこには英語社名としてOsakaSubway co., Ltd.と記載されている。英語社名は愛称とセットでジェイアール東日本企画に考えるように発注されている。co.jpドメインは乱獲可能なcomや汎用jpと違ってむやみに取れないということは念頭に置く必要がある。また決まった愛称などの用語が今後商標出願されるはずだし、また可能性のあるものはすでに早い段階で出願されている。今後はそのルートで漏れてくることもあるだろう。

また入札の発注計画を見ていると掲示用の時刻表や初電終電掲示の作成という案件もあり、新ロゴを入れたものをつくるのかもしれないが、それならシール貼りでもよさそうだし、最後のダイヤ改正が年度末にあるのかもしれない。

地下鉄はまああまり心配していないし、むしろ他の私鉄からしたらチートそのものが爆誕するわけだが、心配なのはバスのほう。バスも住之江や霞町の開発の失敗を押し付けられて事業としてそんなに悪い状態とは思えないけど、かといって人口減時代に単独で採算を維持していくのはやはり難しいであろう。(バスは地下鉄より郊外寄りである分、都心回帰の恩恵を受けにくい。)平松市長時代に(よく勘違いしている人がいるが、橋下時代ではない)策定されたアクションプランに基づき、路線の統廃合が2010年ごろから進み、例えば101,102,62号系統が統合されて大阪駅前~住吉車庫の長い経路の現62号系統になったりした。この系統なんてもっと増発してよさそうに思うけど、10年は路線網現状維持の公約が出されたため、あまりテコ入れもできないだろう。何しろドライバーの確保も難しい時代。何かを減便せずして増便はできないだろうし。世が世なら高速バス進出などもしただろうけど同様の理由で今は難しそう。ところで一つ気になるのは、愛称を決めることになっている地下鉄と違ってバスではそういう話がなさそうなこと。大阪シティバスという会社名がそのままサービス名となるのか、何か愛称を使うのか。というのも大阪シティバス直営路線は今すでにあり(USJIKEAへの路線)、市からの継承路線とは運賃制度も異なる。識別のためにも名称は必要なのではないかと思うのだが。

(追記)その後発表されたバス・地下鉄連絡のIC定期の券面の画像より判明したが、大阪シティバスという名称がそのまま現市バスの路線網を表す呼び方となり、USJIKEAへの路線は但し書きで示される例外となった。今後例外的な路線が増えなければ良いのだが。(市外進出や高速や観光バスならわかるけど。)