なにわ筋線対応新型ラピートに関する報道

www.asahi.com

ラピートの先頭車両には避難用の貫通扉がなく、安全面から幅の狭い地下は走れない構造だ。南海が、JR西日本阪急電鉄大阪府・市と2031年春開業で合意したなにわ筋線は地下を通る計画だ。このため、遠北氏は「車両に新たな投資が必要だ。開業に合わせて新型特急を導入する」と語った。

なにわ筋線の開業する頃には現ラピート 50000系もかなり老朽化しており、新線の開業を景気づける意味でも新車投入は不可避である。おそらく数年前から順次置き換えになるのだろうけど、その新車の仕様に関して興味深い報道があった。

周知のようになにわ筋線は地下線である。地下線といっても鉄道の防災上は山岳トンネルのように車両の周囲にスペースがあり、火災などの際に横を歩いて脱出できる場合と、地下鉄のようにギリギリの寸法で掘られて、先頭車の前から脱出するしかない場合とがある。後者の場合は先頭に貫通路が必要な安全規則があることはよく知られているが、前者のように幅に余裕がある場合は必ずしも貫通路は必要ないことはあまり知られていなかったり忘れられていたりすることも多い。関西の例としては近鉄アーバンライナーなどは非貫通で大阪難波(回送で桜川)まで運転されているし、JR難波地下駅には103系や201系などが入っている。最近の新路線が古い地下鉄のようなギリギリ寸法で掘られることはあまりなく、貫通路がないといけないという報道が(上記の記事では社長の発言なのか、それを聞いた記者の解釈なのかは不明なところがあるがトンネル幅に触れているのは素人の解釈では出てこない記事内容ではある。)出てきたのは意外であった。

新ラピートが貫通構造だとすると少なくともなにわ筋線南海ルートには寸法ギリギリな箇所が存在する可能性があり、難波付近で地下深いルートを通ることから建設費あるいは既存構造物との干渉回避などのため設計が厳しいのかもしれない。JRルートは不明であるがルート的には難しいところは特になさそうなので予算面さえなんとかなるのなら余裕ある寸法の可能性もある。(JRの281系には幌はないものの先頭に口があり、なにわ筋線を想定したものと考えられるが、複数編成連結時の脱出ルートなのでは。)あるいは法令的には非貫通でも問題ないが安全面重視の判断で貫通にしたという可能性もあるが。

先頭が貫通になれば特急車両としてはデザイン面での制約を受けるというデメリットもあるが一方で、需要に応じた編成を組成したり、あるいは泉佐野和歌山市方面と分割併合を行ったりするのがやりやすくなるというポジティブな活用法も出てくる。なにわ筋線開通後は6両編成で足りるわけはなく、JRとの兼ね合いもあり増発も難しいから8~10連への増結も考えられる。かといって常にそんな需要があるわけでもないので、基本編成6両に時間帯に応じて増結する、あるいはサザンを連結するなどもできる。サザンや泉北ライナー等との車種統一もできなくはないだろう。

あと気になるのは、新難波地下駅前後はおそらくかなりの急勾配になるはずで、その点も仕様に影響する可能性がある。(一部の電動車が故障しても登れるようにとか)